耳鼻咽喉科領域の受診の多い疾病の治療方針
主に舞台などで声帯を酷使した場合と上気道炎に伴う声帯炎/声帯浮腫(風邪を引いて声が出ない)の場合とに大別できます。
前者の場合には、舞台以外での声帯安静(沈黙療法)と積極的な消炎により、役者の公演中などは発声機会が続くため治療を続けながらになりますが、計画通りに改善していきます。
一方、風邪を引いて声が出ない場合、意外と思い通りにいかず、役者などが舞台を降板、歌手のコンサートが中止になるのは、この場合が圧倒的です。
その要因として、原因となった上気道や気管支の炎症と同様に声帯に炎症を続いているためです。早期に改善するためには、症状の大小に限らず、上気道炎や気管支炎を抑制していくこと、そのためには、内服療法や点滴治療だけでなく、十分な睡眠と安静が必要になります。
また、声帯に負担を掛ける悪癖がない方にも起こることがあり、声の不調時の日常的な対応になれず、予想に反して意外に長引く傾向にあります。
上気道炎や気管支炎の咽頭痛や咳の症状が治まってから、通常ですと1週間程度で声に違和感が無くなってきます。
声楽家のような微妙な声を要求される方の場合には、納得いく声質へ戻すまでに1か月以上要する場合もあります。
何よりも風邪を引いた時、声帯に不調がある時には無理な発声を慎むことが最大の予防策と言えます。
声の不調が反復する病気の代表が声帯結節です。声帯を酷使することで炎症が生じ、その状態で酷使を続けることで声帯にコスレが生じます。その部分が硬くなってしまい微妙な表現が困難になります。
声帯安静と消炎療法をしていると改善してきますが、職業上酷使が続くと再び声の不調が生じます。
声楽家の場合、その微妙な表現ができなくなることで、歌唱に対して不安状態になる方も少なくありません。
その予防策として、発声量の自己管理と不調時の声帯メンテナンスです。同じ歌唱時間でも声帯に負荷のかかる程度は異なります。どのような歌唱時に声帯の疲労が大きいか、確認しながら歌唱活動していくことが肝要です。
声帯炎や結節を反復しやすい方へは、声帯の炎症を和らげます消炎剤や漢方薬を準備しています。声帯が健康の時に内服は不要ですが、歌唱過多にある場合には就前に内服していただき翌朝には声帯の炎症が減少していくように、声が不調になった段階では1日3回内服を継続することを勧めています。
耳鼻咽喉科医療機関でのネブライザー療法が現在は自宅でもできるような吸入器が発売されています。ご希望の方はご相談ください。自宅吸入療法を導入した結果、消炎剤の内服機会を減らせることが期待できます。
慢性化した声帯結節の手術治療後の再発率は85%と高率であり、手術治療による解決をご希望される場合には、手術前に十分に声帯酷使をしない習慣を身につけてからを条件としています。
アレルギー体質の強弱とハウスダストやスギやヒノキの花粉など個々のアレルゲンを血液検査で確認し、治療方法を検討していきます。いずれの治療な場合でも、アレルゲン物質を身体に取込まないようにマスクの装用、生活環境を整える生活療法と基本となります。
軽症から中等症の方へは抗アレルギー薬の内服、点鼻、点眼療法が第一選択になります。
抗アレルギー薬には、効果の強弱、眠気や喉の乾燥などの副作用など各々の特徴があります。
個々に適した治療薬を選択することで、日常生活に支障が少なく、かつ効果的な治療戦略に欠かせない条件となります。
季節や体調変化により症状の変化に応じて投薬内容を調整しています。
妊娠中や授乳中、不妊治療中の方でも安心できる薬剤を提供しています。
長期作用型ステロイドと血清製剤を用いたものがありますが、当診療所では実施していません。
当診療所では、LESAC CO2-25による炭酸ガスレーザー療法、トリクロル酢酸を用いた化学的焼灼術を採用しています。
現在はLESAC CO2-25による炭酸ガスレーザー療法を主体としています。
通年性アレルギー性鼻炎で一年中鼻づまり、鼻水の方
妊娠を予定しており抗アレルギー薬などの内服を最小限にしたい方
毎年花粉症で内服薬では十分な効果の得られていない方
注)鼻中隔彎曲症など他の原因で鼻閉が強い方はこの手術では症状の改善が得られませんので、入院手術を勧めています。
通年性鼻アレルギーについては、術前に抗アレルギー薬の内服を用いて、病的粘膜の腫脹を軽減した後に実施します。
花粉症の場合には、鼻粘膜の腫脹が生じ始める本格的な飛散開始2週間前までを目安にしています。
キシロカインによる表面麻酔を20-30分実施後、レザック社製炭酸ガスレーザーLESAC CO2-25あるいはトリクロル酢酸にてアレルギー変性した下鼻甲介鼻粘膜を焼灼します。アレルギー変性が強い場合には、組織自体の内部より凝固させ、病的粘膜の腫脹を減量させます。粘膜上皮層から固有層深部まで広い範囲に渡り、変性を生じさせることが可能です。
通年性アレルギー鼻炎症例では、鼻閉症状は72%、くしゃみ症状は60%、水溶性鼻汁症状は50%の改善率を認めています。
ただし、本治療による改善は絶対的なものではなく、花粉症の場合、花粉飛散ピーク時には、抗アレ剤の内服などが必要になります。通年性の場合では抗アレ剤の内服の総量を減量できます。また、喘息合併例では喘息症状への好影響が認められています。ただし、眼症状、皮膚症状の改善はありません。
7年後追跡調査では50%が改善状態にあり、長期的にも鼻症状の改善が認められています。
減感作療法には、スギ花粉舌下減感作療法(シダトレン)と各種アレルゲンに対する皮下療法があります。
当診療所では、同療法の認定にありますが、減感作療法は実施していません。その適応についてのご相談は可能です、希望者には実施医療機関をご紹介しています。
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